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部屋の空調の温度が気になる。
一度窓を開け、
空気を入れ替えたりした。
違う、この俺が緊張して・・
息苦しさを覚えてるんだ。
窓は直ぐに閉めた、寒過ぎる。
天然のお湯が
出るお風呂だと聞き
少し落ち着いた後、
交代で入った。
「とてもいいお湯でした」
シアはそう云いながら
俺と同じ
バスローブ姿で戻って来る。
手でヒラヒラ自分を仰ぎ
徐にソファの正面に座った。
「コーラは冷蔵庫にあるって」
そう云って
立ち上がった俺の手を
引き止める彼女。
「ワインぐらい・・飲めます」
「本当に・・?」
あの男の元にいたんだ、
晩酌ぐらいは
付き合ってたのかもしれない。
俺は勝手な解釈をして
彼女のグラスにワインを注ぐ。
乾杯をするとき、
お互い顔を見合わせた。
「何に乾杯します?」
「シアの失恋に」
「失礼な、してません」
「なら、
新しい恋の押し売りに__ 」
「押し売っちゃうんですか??」
「悪いの?」
俺は
グラス片手に彼女の隣へ座る。
ギクリとした
僅か一瞬の緊張が走る顔を
上げ、黒い瞳で俺を見た。
「・・クーリング・オフ、
されない様に」
「乾杯」
彼女の笑えないほどの
緊張感が俺に伝わってくる。
彼女がクイとグラスを開けた
のを見計らい、自分も一気に
ワインを口に全部含んだ。
そのシブさを顔に出したのは
見逃さない。
「・・結構、キクかも。あ、」
シアの顎を指先に取り、
抵抗しそうな頭を軽く押さえて
引き寄せた。
「ぅん・・」
温まらない内に口に含んだ
ワインを合わせた深い唇から
喉へ流し込む。
切ない溜息、
苦しげな甘い声・・。
ゴク・・、彼女の喉が鳴る。
俺はたっぷりと吸い尽くした
唇からやっと離れた。
口端から一筋に垂れた
ワインがイヤらしくてまた
吸い寄せられる。
「ダメです、唇は・・」
「嫌だ」
言葉で拒むシアも
キスの雰囲気があると
目も伏せ加減になってる。