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「話せば・・長いのですけど、
私、凄い確率の偶然で
彼に助けて頂いたんです。」
それを話しているシアは
無表情に戻り、魂が
抜けたかにぼーっとしている。
俺は静かに起き上がり、
そんな彼女に
触れる事も出来ず
脚を崩して見つめていた。
「本当は・・死のうが
生きようが、私には
どうでも良かったのに・・。」
死ぬ気だった・・?
思い直させたって事か。
ヤツの事だ、
説得なんかしたとは思えない。
「解っているんです。ちゃんと。
私なんかじゃ・・
愛して貰えないって事。」
「シア・・・。」
「坂巻さんは・・優しいから、
病んでる私を
手放すのが怖いだけ・・。」
彼女の目
いっぱいに溜まった涙が、
黒目をより美しく見せる。
そういえば
サクヤが云っていたっけ、
"少し欝な所があるけど"と。
違う。ただ片想いに苦しんでる
普通の女だ。
「何が病んでるって云うのさ・・。
皆、どっかおかしいモンだ。
特別じゃない。」
「・・本当?」
「_________ ああ。」
友達の女の子を
慰めてやるのだって
こんな風に
抱きしめたりはしない。
それに、
俺自身も苦しいなんて・・。
いつから・・?
____ さあ、解らない。
「私、その優しさに甘えて・・
嘘までつかせてしまったりして」
「・・・何て?」
「"愛してる"って・・」