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____ ・・シアッ!



お兄ちゃん?
なんで怒鳴ってるの?



____ 起きて、逃げるんだ!



凄く臭い、目にしみる
体が重くて動かない


どこ?

暗いし、
煙だらけで前が見えない



ガタ!


手探りの手にぶつかって
体温計が落ちちゃった



ゲホッ・・。



噎せ返る声と
煙の中から伸びてきた2本の手。



____ もうだめだ、

シアじっとして




ガシャン!




お兄ちゃん?
窓が割れたよ、逃げよう




____ いい?

歯を食いしばって。

大丈夫、後で行くから__




"お兄ちゃ・・! "



転がって・・
ぶつかる斜面、遠ざかる炎。




「・・!!」




泣き叫ぶ声が突き刺さる、




____ お前が

死ねば良かったのよ!!




なら___何故生かしておくの?

お母さん ____?





煌く銀色、
ナースの悲鳴、父の怒声、

血を見た、
吹き出ているのが解ったから

だけど痛みは感じない




「・・・!」



金縛りが解けたかの感覚。

生々しく、体が宙に浮いた
あの感覚が残ってる。

思わず首の傷跡を手の平で
確認してた。

枕元のシーツの白さに
ホッとする。

髪を両手でかき上げ、
落ち着いてみればもう朝。

時計は8時を回っている。



( 何度同じ夢を見るのか )



夕べの記憶が
薄っすらと残ってる。

ジュードが
此処まで運んでくれたのだ。

パジャマに乱れは無い、
そのまま・・眠らせたらしい。

頭に軽い痛み、これが二日酔い?

堪える眩しさ、日差しだけの
明かりがさすキッチンへ。

電話中のジュードは目で合図、
軽く手を上げている。

そして那須は
フライパンを持って振り向き
目をパッチリと開けて
元気に挨拶した。



( 誰と話しているんだろう? )



「俺から話をしますから。

ご心配なく。」






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