+ missing-link +

社長、直々に
電話で報せを貰っていた。

その日の朝、
正式にブランドの
"イメ・キャラ"として
シアを使いたいと
向こうから
事務所に連絡が入ったそうだ。



彼の考えを聞いた後・・
テーブルに
着いた彼女に告げた。


「モデル・・ですか」

「指示通り、
ポーズを取るだけだ」

「えー、強力な助っ人ー!」


何も知らない那須は
何とも呑気に
頬杖を着いて笑ってる。


社長の言う通り、
そりゃ、ノーギャラって
訳には行かない。

どっちにしろ要らぬお世話だ。



「おはようございます」



早速スタジオ入りした俺達。
俺がデザインした物が
イメージ通りに
仕上がっていた。

驚いたのは
契約中と言う事もあり、
シアの腹の括り具合である。

着替えてカメラマンの言う
通りポージングしてみせた。


「病的だね、彼女。」


顔見知りだった
カメラマンが俺に言った。


「好きでしょ。
ああ云うタイプ。」

「・・いいね。
笑いもしないのに
いろんな顔を見せてくれる。」


彼の独特なカラーのある
作品が好きだ。
幸いにもこの男、モデルを
素のままに撮ったりする。

笑って・・などとは云わない。

何の因果か以前の坂巻、
サクヤなどを
撮っていた事もある男だ。


「ハイ、お疲れさん・・!」


最終、
彼が満足気に声を上げる。
午前のうち、無事に
ポスター撮りは終わった。



「また彼女、
俺に撮らせてって云っといて」



そう云って俺の肩を叩いた彼。
事務所所属だと
思ってるんだろう。

"撮りたい"
と彼が言うのは珍しい。

不思議なもので
興味がある被写体を撮ると
彼の作品は必ずと
云っていいほど話題になる。


半信半疑だった
事務所も俺も後で驚かされた。
シアの場合も
例外ではなかったのだ。


後に例の
ゴス・ロリのポスターが
評判になっていった。

駅に張ってあるものなどは
直ぐに盗まれてしまうらしい。

事務所で聞いて
一瞬喜んでしまった俺。

だが・・彼女は
立ち竦んで青褪めてた。





< 59 / 332 >

この作品をシェア

pagetop