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どの道シアがNOと云えば
全て終わるんだ。

彼女はこの世界に
何の魅力も感じていない。

未練なく・・
去って行くのかな。

って・・オイオイ! 
俺、諦めモードじゃん・・。






「オンエアが楽しみだのぅ。
じゃ、シーちゃん、
ジュード君もまたな。」


そして、お迎えの車に乗って
会長は帰ってく。


( VIPなんだな )


女将さんと
まだ忙しい筈の料理長までが
料亭の入り口で
深々と頭を下げて見送ってた。




その後に着いてたタクシーに
乗って俺達は空港に向かった。

到着してトランクから出して
貰ってた荷物。
・・・乗るのは国内線だよな。



「朝から聞こうと
思ってたんだけど
そのデカいバッグは何・・?」

「ジュードさんの荷物です。」

「たかが大阪に一泊でしょ?
・・ほら、貸して。」

「平気です、持てますから。」



けして俺の手を借りない
頑固者はそう云って俺を
案内するかに先を歩く。

搭乗して席に来た時は・・
フフ。さすがに眉を寄せて
困ってやがる。

此処はファースト・クラスだ、
他の乗客に
押されたりはしないから
ゆっくり悩んでみたらいい。


____ 上は無理だろ。


さあ、どうする?
ニヤニヤしながら
眺めていたら。


「コマッテる?」


後ろの青い目の紳士。
シアに話し掛けてきやがった。

声を掛けられて振り向くシア。
ニコニコと笑い掛け、
荷物を指差す男。


「Thank you for
your concern.」
( ご心配ありがとう )


仕方なく立ち上がり、
彼女の荷物を奪い取って
彼に言った。

外人の紳士は
"連れが居たのか"
そんな風に
肩を竦めて席に座った。



「有難うございます・・。」

「ああ・・座って。」



彼女の方へ体を傾け、
足を組み肘掛に着いた手で
顎をしゃくった。

お礼は言ったものの、
顔に力が全く入っておらず
・・冷たい表情のまま。



「ねえ、どう思ってるの? 
一体、何時までそんななの? 」





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