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やっと物憂げにも見える
その目を俺に向けるのだ。
「どうも思ってなんか・・。」
「残るのが嫌なら六日待ってNOと云えばいい。あとはお前の好きに生きりゃいいだろ?」
俺は苛立ちを押さえ、
声を荒げない様、諭すかに
云った。
ホント勝手だし、
八つ当たりだとは思う。
「・・・・・・。」
しまった・・!
そう感じた時、
既に彼女は大きな目を見開き、
ショックを受けた様だった。
「・・・私、付き人としては一生懸命やってるつもりですそれだけじゃ足らないって
おっしゃるなら・・・あの、私・・、もう・・・。」
ノロノロとつなぐ
台詞の言い回しの後、
家の合鍵、
今日のスケジュール表を
ポーチから取り出した。
まるで持ってちゃいけない
物みたいに慌しく
俺にポイポイと手渡したのだ。
「これは
何のつもり・・? ・・?」
シアの妙な感じに気付いた。
その様子が病的に
オドオドしてて
逆ギレ気味だった
俺は冷静さを取り戻す。
どこを見ているんだ?
落とした視線、
彼女の目が泳いでる・・?
「ダメなら大阪でクビにして下さい・・、何処へでも・・置いて来て下さい・・。」
「シア・・・! おい!」
膝の上に作った小さな拳を
握ろうとして触れる。
小刻みに震えているのが
解って疑心に満ちた眼差しで彼女を見直した。
震えていたのは唇も同じだ。
開こうとしている口から
流れ出した言葉は。
「何処がいけなかったんですか、
顔ですか体ですか
全然気持ち良くなかったんですか
性格ですか重たかったんですか暗すぎましたか母に殺されていれば良かったですか」
・・悲痛な、
それは彼女の中に溜まる
"悪い血の塊"にも似ている。
"どうして・・
彼女を壊す様な事を・・!"
耳に残るサクヤの声。
ホラー映画を見ているかの
得体の知れない
心理的恐怖を覚えた。
「・・シア!!」
パンッ!
小気味いい音に
その場のざわめきは
ナリを潜めていった。