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「・・怒ってる?」
「ええ、まあ。」
朝の空港。
シアは腰を拳で
トントン叩きながら
飛行機に搭乗して行く。
「見る人が見たら誤解される」
後ろから
コソッと耳元で言うとキッ!
と振り向かれた。
「柔人! オハヨー!」
柔人? 俺の本名と同じ?
ア!! あの女ぁ・・!
「グーゼン!
一緒の便やったんー?」
「みたいね、お早う。」
シアはビビリながら会釈してる。
関西人がどうも苦手らしい。
「いやーん、ちっさー!
マジ・カワイイー。」
"ちっさー"は余計だし、禁句だ!
見ろ、
また口がムニュっと一文字に!
なんてこった、この女が後に?
始終見張られてる様なもんだ。
「ん?」
ドカリと席に座った俺に
腕をツンと突いた隣の彼女。
ゆっくりと口パクして見せた。
『マエ・カノ、デスカ』
そして首を"コキッ"、と
横へ折りやがる。なるほど、
"クエスチョン・マーク"か。
うんうんと頷く俺。
「なー柔人、
また飲みにいこーな♪」
"コキンッ。"
う・・、シアめ。
また反対側に
首を大きく傾げやがって。
滅多にしない動作の為、
骨まで鳴ってる。
"昨日、一緒だったって事?"
大きな
真ん丸い目で見つめて聞くな!
なぜかそんな
意思の疎通が出来る俺達。
「カイト君が居るじゃない。
昨日あれからどうだったの?」
俺はシアに
身の潔白を伝えたかっただけだ。
「えー、じゃ、家に行きたいー!」
か、勘弁してくれ・・!
家には一回も
あげた事はねえだろがっ!
この女絶対、俺達を
仲たがいさせようとしてる。
俺がシアを一緒に住まわせてる
事ぐらい知ってる筈。
「ミュウ、悪いけど・・
同居人も他に居るんだ。」
「えー? そうなん?」
と云いつつ、
この女は瞳の奥で笑った。
だが確かにウソじゃないんだし。
シアは既に隣で寝てたけど。
ちゃんと聞いてろよ・・!