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休憩室に戻って来ると
彼女は水道の所に立ち
俯いて何かしてた。
服を汚したらしい。
「・・紙ナプキンが
着いてなかった?」
「着いてました・・。」
「っ世話の焼ける・・も、
貸して!」
膝の上にボタリと
ハラペーニョを落とし、
懸命にサロペットの
シミ抜きをしてやがった。
食器用洗剤を
ピンポイントに垂らし、
指先でちゅっ、と摘んでおく。
「帰ったら即洗いだな。」
「・・はい。」
「それと、・・・ブッ。」
ふと俺を見下ろしてる
顔を見て。
笑いを堪えながら
お手拭を叩きあけ、
口の周りに着いた
オレンジ色のアトを拭いてやる。
「え、なんか着いてます?」
「お前ねぇ、カールおじさん
じゃないんだから・・。」
この場に居なくて良かった。
どんな食べ方をしてたんだよ?
次からチリドッグはよそう。
百年の恋も
いっぺんに醒めそうだ。
「1人じゃダメだな。
こんなんじゃさあ・・・。」
まだ少し暖かいチリドッグ
を頬張り、
呆れて彼女を見遣る。
「あの・・、それと?」
「ああ。あんな事、
気にしなくていい。
そもそも、
お前が被害者なんだろ・・?」
「ええ・・。」
「何時ごろの話なの?」
・・・彼女が言うには、
中学二年の時。
ってことは今から5年前?
古いな。
街の歩道、夕暮れ時。
信号待ちをしていた
シアの前に
一台のバンが止まった。
ガラリとスライドドアが
開いたと思ったら
男二人が降りてきて
彼女を持ち上げて中に
引き摺り込もうとしたらしい。
当時、そんな
乱暴なやり方で連れ去り、
人気のない場所に留めて
数人でレイプ、
ヤってるところをビデオに
撮り、終わるとその場から
離れた所に置き去るって
犯罪が多発していたんだ。
「悲鳴も上げられずに・・
気が付いたら地面に放り
出されて坂巻さんが・・。」
イモヅル式に出てきた
男4人をその場で
ヤツはボコボコにした。
だが
加害者は初犯、
同一犯という証拠も出ず。