+ missing-link +
どうやらその情報源は
地元の人間らしかった。


シアはその日、
風邪で寝込んでた。
彼女を見舞った友達らが、
入れ違いで家に入って行く
上級生達を見たそうだ。

その数時間後、
悲劇は起こった。

両親は不在、
火元は兄の部屋だ。

灯油を撒いて上級生達を
脅したが揉み合っている内に
火種が着いたのではないかと
当時の新聞には
書いてあったらしい。

彼女は布団でぐるぐる巻きに
され、芝生の上で気を失ってた。


「遺書めいたものが後に
見つかったんだって。」


"史亜は僕の可愛い妹、
たった一人の理解者だ。
彼女を汚そうとする奴らと
今夜、決着を着ける"


そして彼らの
数々の脅しのメールも
見つかった。


"妹を
差し出したら許してやる"


いじめ問題がこんな風に
露見して行くのは
珍しい事じゃない。

それが本当なら
最悪のケースなのだろう。

確かな事は、
1人生き残った彼女が
首と心に大きな傷を
負ったままだと云うこと。



「売れれば売れるほど・・
こう云う話で
彼女は傷付くだろうな。」

「・・お宅のバカ社長、
まだそんな事考えてんの!?」

「これでも取材は断って貰って
る。ちゃんと話しておくさ。」


「「 ・・・! 」」



シクシクシクシク・・。

すすり泣く声?

バーカウンターに座って
栗を剥いていた那須が
エプロンで顔を覆ってやがる。


「那須・・・、聞いてたの?」

「・・塩が目に入っただけっス!あ、
今夜は栗ご飯ッスょ、ウエッ、ヒック。」

「・・俺、食べてっていい? 」



最近、
ナニゲに主婦化している那須。
実家から
送られてきた栗らしい。

長髪、パツキン、細身なので
さめざめ泣く姿はイヤに
"お母さん"っぽい。


「ヒック・・、ぐすっ・・。
シーちゃんに、
いっぱい食べさせないとね。」


「「 やっぱ、
聞いてたんじゃん 」」



太らせるつもりか??

まあ、
そりゃどうでもいいけど、
明日から流れ出す
CMの反響がどう出るか・・。


< 90 / 332 >

この作品をシェア

pagetop