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___ 今まで通り

させてやればよかろうもん



確かに最初、シアは

「自分には似合わない」

芸能界、全てから
退こうとしていたんだが、

俺のクドきに折れて、
期限後も変わりなく付き人で
いる事を約束させていた。

だから社長にも他の仕事は
させないと云っていた。

驚くのはそればかりでない。

社長が彼女に
チラつかせていた坂巻の借金。

それも一体どこから漏れたのか。

考えられる所、
袖の下を掴まされてリークした
社員がいたんだろう。

だげどこんな
弱小プロダクション買うなんて
道楽もいいとこだ。







「そう、株が・・。」


衣装合わせを終えた俺達は
事務所に置いて来た
マネージャーから電話を貰った。

彼もやっと
現実を認めたらしい。

本当は知っていた
新しい事務所の住所を聞き、
そちらへ向う。

そこには前に来た
シーグラス本社ビルが
目と鼻の先に見えていた。

今までのビルとは雲泥の差。
コレで中古?
3階建てで何もかも新しい。


「お疲れ様。こちらに。」


そう云って案内するこの男は
さっき、会長の後ろにいた
俺に会釈をした男だった。

2階の部屋にはいつもの面々。

増えたのは若そうな
メガネの女子事務員1人と・・
えっ? これだけ??

そりゃそうだろうよ。
もともと規模が小さいのに
人増やしたってなー。


「ジュード君、
こちら恩田専務だ。」

「・・・・。」


ウソ。

俺達、彼に
ドア開けさせたりしたのに。



「どうぞ宜しく。
社外ではけして"専務”と
呼ばないで下さいね。」



クールに笑うと
俺とシアに握手を求めた。

今後彼は事務所の経営陣たる
マネージャーと現場の予備の
マネージャーを兼ねると云う。

渡された名刺は一応、
専務用のものだ。

近くで見ると意外と若い。
34,5位。

つやつや黒々とした
オールバック、
背は俺よりやや高め・・
187~8はあるかな。


目鼻立ちが涼しげな・・待てよ、

誰かに似てる・・!!







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