おしおき
[どうしたの?初香。顔真っ赤だよ?]

壱哉が俯いた初香の顎を捕らえ、自分の方に向かせると、意地悪な顔で覗き込んだ。

[やっ、やだっ。見ないで・・・!]

払いのけようとする初香の手を掴み、壱哉がグイッと引き寄せた。

[・・・カワイイ、初香]

[やだっ、壱哉君っ。離して]

高鳴る鼓動を聞かれたくない初香は、体をよじって抵抗するが、壱哉の力強さに敵わずおかげがない。

[ねぇ、初香?俺達ももうシちゃう?]

耳元で囁かれる言葉に、初香は別の意味でゾクゾクした。

[だっ、ダメだよっ、そんなの・・・]



だってここにいるの気付かれちゃうっ。



[いいじゃん。俺達だって同じコトしにきてたんだから]

[そっ、それはっ・・・]



そうだけど・・・。



何を隠そう、初香も今真っ最中のカップルと同じく、ここでそうなる途中だったのだ。

ところがお互いの服が乱れたところで、目の前のカップルが入って来てしまい、間一髪の所でここに隠れたのである。


[いいよね?初香]


壱哉は、すでにボタンが外れてあらわになっていた胸元に唇を這わせ、初香の思考を鈍らせる。
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