おしおき
[やっ、だ、ダメ・・・っ]

少しボリュームの上がった唇を、壱哉の唇が塞ぐ。

[・・・声出さないでね?]
唇が触れるか触れないかの位置で囁き、壱哉の指がブラのホックを外す。


外から聞こえる声が落ち着き、上がった息だけが聞こえてくる。

「ねぇ、今日うちくる?」

「おまえも好きだなぁ。終わったばっかで何言ってんの?」

暫くして普段の息が戻ったカップルが、何事もなかったかのように会話を始め、なにやらごそごそやっている。

どうやら身支度を整えているようで、服のこすれる音がやけに響く。

[・・・もう出ていくから、そしたら声出しても大丈夫だよ?]

初香の首筋にキスしながら壱哉が言うと、今にも漏れそうな吐息を細く長い指で止めさせる。

冷暖房完備で快適な空間でも、こうなれば話は別。

初香の額にうっすらと汗が湧き出て来ている。


やがて身支度を済ませたカップルが、初香達に気がつく事なく出て行った。


追試室兼、物置部屋は、最初の予定通り初香と壱哉の二人きりになった。
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