オレンジ
――どうなってんだ。
ガラガラの体育館を見て呆然とする。
新入生たちは、みんなあのイケメンの元に行ってしまったのかい?
おい…どうなるんだよ私!!
イケメンハウスに住んでるなんて知れたら、学校中敵だらけじゃんかよぉぉ!?
よろよろしながら自分の座席につくと、隣に女の子が座っている。
おや、この子はイケメン興味なし?
「こ、こんにちは」
と、勢いまかせに声をかけると、隣の子が振り向く。
「あぁ…コンニチハ」
び、美人!!
ラッキー!!(おい)
「私、桐島鈴。よろしく」
「私は桑本蘭。よろしく」
ラン!
これはまさしくリンリンランラン!!(古い!!)
にへっと私が笑うと、最初は訝しげな顔をしていたランラン(決定)も、にっこり微笑んだ。
「ランランは、イケメン興味なし?」
唐突に質問すると、
「ランラン?」
と、一瞬きょとんとして、プッと吹き出しながら彼女が答える。
「古いな、リンリン」
ナイス!!
「校門前のあれでしょ?あんなの中学の時から見慣れてるもの。」
地元っ子だったのか。
「なぁるほど、東芝」
古い、とまたしても彼女が笑い、私たちは奇妙な連帯感を覚えた。