オレンジ
「あははは、リン、知らなかったんだ!」
部屋の床で笑い転げながら、光輔くんが言った。
「知らなかったよぅ。」
ほっぺたを押さえながら、私が答えると、笑いすぎで滲んだ涙を吹きながら、光輔くんが私の隣に座る。
光輔くんは、よく部屋に来ては色んな話をする。
「宗ニィはあぁ見えて、ポルノ小説家なの。結構有名なんだよ?日常は普通の男性だから、心配いらないよ!」
にっこり笑ってそう説明された。
いや、いいんだけどさ。
ポルノ…
芸術の一貫だよね、うん、そうだそうだ。
「いやぁ、知らなかったことがどんどんわかってくね。」
私が言うと、光輔くんがにこにこしながら聞いている。
「ずっとアメリカで住んでたの?」
私が聞くと、
「うん、僕は一番小さかったから。でも、今はお仕事が忙しくて、僕はこっちに来ることになったんだ。」
「…寂しい?」
そう見えたので、素直に聞いてみる。
「僕、いつになったら大人になるのかなぁ」
「大人?」
「僕、向こうの学校にガールフレンドがいるんだ。すごく好きなのに、僕はまだ子供だから、一緒にいられない。早く大人になって、どこへでも一緒に行けたら、こんな思いしなくて済むのに。」
――小さな体に詰め込んだ切ない恋心。
色んな気持ちがあるんだな…。