オレンジ
「じゃあ、その…宗輔さん。」
咳払いをひとつして、気を落ち着かせながら尋ねてみる。
「はい何でしょう?」
にこにこしながら宗輔さんが私を見る。
「このお家には、宗輔さんがお一人で?」
「あ、それはね…」
と、宗輔さんが言いかけたところに、玄関のドアの開く音がした。
リビングのドアが開き、そこからはまたしても目眩がするほど美形の男子が姿を現した。
「ただいま…あれ?そちらは?」
上品な笑顔で美男子が私と宗輔さんを交互に見る。
「彼女は桐島鈴ちゃん。今日からここに入居する子だよ。」
いやあの、と言いかけると美男子が悩殺スマイルで私を振り向き、
「そっか。君が桐島鈴さんだね。よろしく。僕はこの家の次男で、涼輔といいます。君が明後日から通う高校の3年生なんだ。」
「よ、よろしくお願いします…」
思わず頭を下げる。
じゃあ、と美しい笑顔を残して、階上に消えて行った。
「彼が、次男。君の通う高校の生徒会長だよ。」
と、宗輔さんが付け足した。
さすが、お約束。
美男子は生徒会長!
と、考えているとまたも玄関のドアの開く音がした。