オレンジ
「と、いうわけで」
宗輔さんがにこやかに私を見る。
「これで全員集合。我が藤代家の四兄弟が、ここに住んでるってわけ。」
と、いうことは…
「これから私は、ここで皆さんと暮らす…?」
「そういうこと♪」
楽し気に、宗輔さんが答える。
「とりあえず食事は僕が作るから、いらない時だけ連絡してくれたらいいよ。できれば〆切前だけ助けてくれると嬉しいんだけど…」
「は、はい」
「あと、見てわかるかもしれないんだけど…掃除と洗濯はどうも苦手でね…」
苦笑いの宗輔さんの視線を追うように部屋を見渡す。
確かに、片付いているようには見えない。
「もし引き受けてくれたら、下宿代、ちょっと勉強するからさ、どうにかお願いできないかなぁ?」
――どうなってんだ…
引っ越し前に郵送した荷物が積まれた、すっかり暗くなった部屋でぼんやり考える。
甘い高校生活の始まりが、個性派揃いのイケメン四兄弟との同居だなんて…。
両親には口が割けても言えん!
まぁでも…
破格の下宿代、一人を除けば優しそうなイケメンの皆さん、そして最高の立地条件。
これを拒否する理由などない。
立ち上がり、拳を突き上げる。
「お世話になりましょう!!」
そう宣言して、ここでの生活を始めることにした。