オレンジ
「今日からまた練習で遅くなるから。」
宗輔さんにそう告げ、早々と洋輔さんが家を出る。
「僕は生徒会の集まりがあるから、少し遅くなるよ。」
宗輔さんと私を交互に見ながら、にこやかに告げたのは涼輔さん。
「行ってきます。」
と、出ていこうとした涼輔さんに慌てて着いていこうとすると、宗輔さんが私の腕を掴んだ。
「彼らとは間隔を開けて登校した方がいいよ。」
にっこり笑って言う宗輔さんに、首をかしげていると、
「見ればわかるさ。」
と、苦笑いをもらした。
一体、何だってんだろう。
5分程間隔を開けて、学校に向かう。
この家は、高校から徒歩20分という大変便利な場所にあるのだ。
お、見えた見えた。
恋が花開く(予定)、高校の校門が見える。
と、何やら人垣が見えた。
入学生にしちゃあ、数が多すぎる。
校門に辿り着き、背伸びをして前方を伺うと、人垣の真ん中にいたのは、
5分前に一緒に朝ごはんを食べていたはずの、
涼輔さんと、洋輔さんだった。