箱入りお姫さまの秘密事


そんなことを考えながら私は黒百合荘の玄関を開けた


野嶋さんが煙草を吸いながらこっちを見た


「おかえり」


それだけ言ってまたいじっていた携帯に目を向けた


野嶋さんに会えば元気出ると思ったけど、なんとなく冷たくされて、さらに凹んだ


「のじまさん」

「ん?」


今のことを話した方がいいのかな


でも野嶋さんに話したって…


じゃなくて
とにかく自分の気持ちを言わなきゃっ



「のッじま゛さω…」



「…は?」


やばい!
声裏返ったっ



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