『降下を志願する』

午後4時28分

司令部からの命令を受け、エヴァーズマンの部隊はモガディシュの街を移動する。

『エヴァーズマン軍曹注意しろ』

上空を警戒しているヘリから無線が入る。

『建物を挟んで並行して、多数の民兵が進んでいる。鉢合わせると銃撃になるぞ』

「了解」

声や物音で民兵達に悟られぬよう、エヴァーズマンはジェスチャーで部隊の仲間にその旨を伝えた。

嫌になる。

ほんの数ブロックを移動するだけなのに、そこかしこからの銃撃。

時にはロケット弾まで飛んできて、仲間を次々と撃ち抜く。

建物という建物に民兵は潜んでいた。

油断していると凄まじい弾丸の雨。

建物の陰に隠れて応戦するものの、その建物のコンクリートが削り取られるほどの激しい銃撃だった。

コンクリートの破片が、砂煙が、薬莢が、埃が、エヴァーズマン達に降り注いだ。

基地から出発する時の、あの余裕の表情は彼らにはない。

どこでこうなってしまった?

どこで?

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