『降下を志願する』
銃撃の間隙を縫い、兵士の一人が物陰から物陰へと走り抜ける。

しかしそれを待っていたように建物屋上からの狙撃!

兵士は手を撃たれ、持っていたM4アサルトライフルを取り落とす。

何とか物陰まで駆け抜けたものの、撃たれた手を押さえて蹲る兵士。

「大丈夫か!」

援護射撃を敢行しながらエヴァーズマンが叫ぶ。

すぐに衛生兵が撃たれた兵士の元に駆け寄る。

…兵士の右手は、指が一本しか残っていなかった。

「エヴァーズマン!」

レンジャーであるエヴァーズマンとは違う形状のヘルメットをかぶった兵士が駆け寄ってくる。

デルタフォースの古参兵フート一等軍曹だ。

彼もまた、この混乱の戦場で何とか生き延びていた。

部隊の仲間がことごとく死亡、或いは負傷、行方知れずとなり、単独行動をとっていたらしい。

「フート軍曹!」

自分と同じデザートカラーのアサルトスーツを見ると、涙が出そうなほど嬉しくなる。

まだ若いエヴァーズマンには、それほど過酷な戦場だった。

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