『降下を志願する』

午後4時40分

無線を通じて飛び交うのは、怒号と悲鳴、爆発音と銃声。

最悪だ…地獄だな、ここは…。

撃墜されたウォルコットのブラックホーク・スーパー61の引き継ぎ任務を受けたマイク・デュラント准尉のブラックホーク・スーパー64は、モガディシュ上空を飛行する。

市街のそこかしこに上がる黒煙。

モガディシュ市民がバリケードの為に積み上げたタイヤを燃やす煙と、ＲＰＧなどの砲撃による煙だ。

まさに戦場。

これほどの激戦地は、恐らくベトナム戦争以来ではないだろうか。

常に世界のリーダーであり続け、圧倒的な戦力によって制圧戦を繰り返してきたアメリカが数十年ぶりに直面した、泥沼の戦闘。

精鋭揃いのデルタとレンジャーを以ってしても、この戦場を生き残る事すら困難だった。