『降下を志願する』

午後4時42分

愕然とする。

上空のヘリからスーパー64の墜落する光景を目撃し、ゴードンとシュガートは一時言葉を失った。

馬鹿な…ブラックホークだぞ。

アメリカ空軍が誇る最新鋭攻撃ヘリ。

それを操るデュラントだって、世界トップクラスのヘリパイロットに違いない。

それが…撃墜された?

こんな極貧国の民兵如きに?

どんなに心の中で認めまいとしても、現実は残酷に結果を突きつける。

上空から見える、残骸と化したスーパー64。

乗員に生存者はいるのか、要救助者は存在するのか。

ここからでは確認できない。

だが、最悪の展開なのは容易に理解できた。

数ブロック先に、群衆が見える。

モガディシュ市民。

戦闘に巻き込まれた事による過度の興奮状態で、暴徒と化してしまっている。

米軍兵士に敵意を剥き出しにした、理性を欠いた状態。

あんな連中に、身動きの取れないスーパー64の乗員達が襲われたら…。

嬲り殺しに遭うのは確実だった。

< 43 / 79 >

この作品をシェア

pagetop