『降下を志願する』
フートは一等軍曹、エヴァーズマンは二等軍曹。

階級も年齢もフートの方が上だ。

エヴァーズマンに強制する権限はない。

「わかりました…幸運を」

彼の言葉に薄く笑みだけ浮かべ、フートは一人市街の中へと消えていく。

「よし、俺達は撤退だ」

エヴァーズマン達を乗せた緊急車両隊は走り始める。

瓦礫と薬莢、遺体と残骸だらけの濃密な空間と化したモガディシュ。

地獄のような街を生きて脱出できるエヴァーズマン達は、それだけで幸運だった。

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