『降下を志願する』
それから…。

その後もモガディシュ市街での戦闘は延々と続いた。

たった一時間足らずで終わる筈の作戦。

長時間の作戦行動の準備もしていなかったデルタ・レンジャーの混成部隊は、迎えの車両部隊が遅れた事により、何と15時間以上も敵勢力圏内で、補給すら儘ならないまま戦い続ける事となったのだ。

休息も、食事も、手当てもまともに受けられず、一睡もせずに敵に包囲されたままの戦闘。

ガリソン少将の手配した、国連軍の救出車両部隊が到着したのは、翌日の1993年10月4日午前1時55分の事だった。

それでも彼らはすぐに撤退などしない。

『仲間は誰一人として戦場に残さない』

その信念を曲げる事なく、兵士達は全ての負傷者、仲間の遺体を回収した。

墜落ヘリに挟まれたままのウォルコットの遺体も2時間半かけて引き出し、全員をモガディシュ市街から連れ出したのである。

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