絶愛
「お先に失礼します。」
私は、定時より少しオーバー気味で、黒いブーツのファスナーを上げていた。
「ねね。美沙ちゃん途中まで帰ろう?」
「いいよ。」
黒髪のふわふわの癖っ毛を、耳にかけながら、子猫のような細い目をした、同僚の、のぞみが声をかけてきた。
「しかし。美沙ちゃんって髪長いよね。」
「そう?」
「腰近くまであるし、美人だし」
「そんなことないよ。」
「それに、優しいしね。」
「それ、ほめすぎだって(笑)」
ここの会社に入社して、半月がたつ。
飲食の世界の中でも、和食の世界に飛び込んで一番先に仲良くなったのは、同い年の、のぞみだった。
時間を見つけてはちょこちょこ、こんなふうに、途中までごく自然に帰る事が多くなっていた。
「本当ここからの夜景って綺麗だよね。」
そう言ってはいつも、のぞみは、ビルの最上階にあるこの店舗から望む、札幌駅前の夜景に目を奪われては足を止めていた。
実際、宝石箱をひっくり返したようにネオンがちりばめられていて、私もすごく気に入っていたんだ。
私は、定時より少しオーバー気味で、黒いブーツのファスナーを上げていた。
「ねね。美沙ちゃん途中まで帰ろう?」
「いいよ。」
黒髪のふわふわの癖っ毛を、耳にかけながら、子猫のような細い目をした、同僚の、のぞみが声をかけてきた。
「しかし。美沙ちゃんって髪長いよね。」
「そう?」
「腰近くまであるし、美人だし」
「そんなことないよ。」
「それに、優しいしね。」
「それ、ほめすぎだって(笑)」
ここの会社に入社して、半月がたつ。
飲食の世界の中でも、和食の世界に飛び込んで一番先に仲良くなったのは、同い年の、のぞみだった。
時間を見つけてはちょこちょこ、こんなふうに、途中までごく自然に帰る事が多くなっていた。
「本当ここからの夜景って綺麗だよね。」
そう言ってはいつも、のぞみは、ビルの最上階にあるこの店舗から望む、札幌駅前の夜景に目を奪われては足を止めていた。
実際、宝石箱をひっくり返したようにネオンがちりばめられていて、私もすごく気に入っていたんだ。