絶愛

「竹内さん？板長呼んでます。」

「えっ？あたし？」

デシャップの男の子が申し訳なさそうに呼びに来る。

「山口さんは？」

「それが…また…」



何故か板長が怒るタイミングを見てるのか、肝心な時には不思議な事に見当たらない。



「今行きます。」


ため息混じりで紺色ののれんをくぐり覚悟をきめる。


「すいません！竹内です。」

「また、お前か？山口は？」

「すいません…」

「また、居ないのか！
新人のお前に言いたくないんだけどよ…」


新人だろうと、社員には変わらないので板長は私に文句を言うと厨房の奥へひきさがっていった。


「レジお願いします」


その言葉に急いで戻ると、そこには山口さんの姿。



このホールの山口さん。



肝心なときにはいつもいなく、めんどくさいセッティングのときも姿がいつも見えない。



最初は用事があるのかとおもっていたけど、頻繁な出来事にいい加減私はこの、山口さんのいじめにあってると気がついたんだ。