絶愛
にいつも居ないのに、こんな時ばかり。

「あら、竹内さん。
個室の水月。次予約が入ってるから3名でセッティングよろしくね。」

「知ってます。」


「あら、そう。」

とは言うものの、ピークの波が抜けホッとしたら、ジワジワと理不尽な出来事に悔し涙がでてきた。

こんな所で泣けない…

慌てて、店の外にある、ビル内のトイレへ向かう。

もうダメ…

関を切ってこぼれ落ちる涙。

そんな時ほど、大河とすれ違ってしまうんだ。



よりによって、大河に…見られるだなんて…。



トイレに閉じこもり泣いてすっきりしたあと、またあたしは、仕事へ戻った。




そう、こんな事に躓いてなんかいられない!

ラストオーダーを聞いてその日は無事終了!


いつもの様に、レジ閉めを一人で黙々としていた。




ある意味山口さんのおかげで、仕事も早く覚えれたようなものだし。



ホールスタッフより、朝が早い調理場の人達が、仕事を終えるようで、挨拶をしてきた。



「お先でーす。」

「お疲れ様です。」



レジロールを手にとりながら一人一人に、返事を返す。

1番最後に挨拶をしてきたのは大河。



泣いた顔なんて見てなかったの様に、あたしが現場に復帰しても何一つ見てないと言った対応だ。





「お先っす!」

「お疲れ様です。」


普通に挨拶を返す。

ん?

大河が玄関先で何故か、背中を向けたまま立ち止まっている。



< 34 / 63 >

この作品をシェア

pagetop