絶愛
ロングブーツのヒールをカツカツ鳴らしながら、
ビルから少し離れた所に停車している、ピカピカに洗車されたセドリックに向かって、私は歩きだす。


私に気がついたのか、セドリックが滑るように、ゆっくりと進んで目の前で止まる。

ゆったりと助手席に座ると、そこには、付き合い出して半年目の彼が、セブンスターを加えながら、私の帰りを待ち侘びるかの様子で車を発車。


「おつかれ~仕事終わるの本当ランダムだよな・・」


ダッシュボードの中にある、彼のセブンスターに私は、手を伸ばし火をつけ細く煙りをだす。

「まぁーね。飲食の社員だしね。」


助手席の窓を少し開けながら、街明かりのネオンを見つめていた。



「そっか。毎回毎回もなぁ・・」


急にカーラジオの音が消える。

不意の行動にちょっと困惑。

「え?ん~めんどいなら別にこなくてもいいよ?」


「仕事するのは、仕方ないけど…。
俺の金で生活できない?」



「はっ!?」



「俺さ、プー太郎辞めるって聞いてからずっと考えてたんだけど。
一緒に暮らさないか?」




突然の彼からのプロポーズだった。



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