絶愛
いつも以上に慌ただしく夜が更けていく。


クリスマス近くともなると、恋人達や、有名な企業が宴会や接待での利用がぐっと増えている。


「クリスマスかぁ…」


クリスマス…本当にできるのかな?

確かに、この仕事始めてから満足に雅彦とも合えてない。

でも、忙しくても、時間は作ってくれていたから。


でも…なんだかねぇ。


一人考え込みながら、後片付けをしていたら不意に頭から声が降ってきた。


「何ぶつぶつ言ってるんだ?」

見上げた、先には白い調理帽の横から流れる黒髪が見えていて、涼しげな切れ長の瞳が生意気そうに私を見下ろす大川がいる。


「関係ないでしょ?」


また、私に意地悪を言いに来たに違いない。

反射的にしかめっつらをみせつける。


「あっ!お前彼氏とかいないんだろ?」




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