絶愛
1時間が過ぎた所で、お酒がどうやら切れてしまったようだ。


「お酒切れたから、買い出し行ってきます。美沙ちゃん、行かない?」


吟が声をかけてきたから、小さく頷き立ち上がろうとした時、めいいっぱいこの中でアタマの顔をしていた人が、

「俺も行く」と言って立ち上がる。



この一時間で、彼とは二言三言ぐらいしか、会話なんてしていない。




ただ、吟が言う程、恐い人じゃなく穏やかな、優しい笑顔を、しながら静かに飲んでいたので、ちょっと驚いてしまう。



「じゃあ、雅彦さん。二人で頼みます。」





そう言って吟は、座りだし残りの酒を飲み始め、回りも再び賑やかさを取り戻していた。





あたしは、誰が来ようと、どうでもよかったんだ。

ただ、お酒さえ飲めればって…




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