キャンディ
音もなく近づく。
亮介とルイはその後、ホテルについて興奮冷めやらぬといった感じに、いつまでも抱き合い、じゃれあった。

気がつくと夕方の時間になっていて、どこかよいレストランがないかと活気のある五番街(パークアベニュー)やセントラルパークのわき道を地図片手に歩いた。

ローカルな地理に詳しいわけのないこの二人は、結局さんざんっぱら歩いた。
そしてタクシーを拾い、ワシントンスクウェアやリトル.イタリーのある界隈の、六番街と七番街の間にあるクリストファー.ストリートで感じのよいイタリアンのお店に入った。

イタリアンなのにバターたっぷりの、そして大しておいしくもないパスタだったが、二人とも精一杯この雰囲気を味わい、満喫した。

外に出るとすでに夜の十時を廻っていて、あたりはすでに真っ暗だったが、まだたくさんんのカップルが歩いていた。
そしてそのほとんどが同性カップルだった。

実はこの界隈、『ゲイストリート』なるものがあるほど、あからさまに同性愛者が多い地区である。

アメリカに着いたばかりの井の中の蛙たちは、またもや刺激的な新しい大海を見たのであった。
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