雨に恋した華
店の奥で一人取り残されたあたしは、呆然としていた。


頭の中を整理しようと、さっきの出来事を思い起こしてみる。


だけど…


彼が立ち去った時から一気に騒ぎ出した心臓に気を取られて、彼とのやり取りを上手く思い出せない。


わかっているのは、彼と話せたと言う事だけ…。


それでも、あたしには充分過ぎる程の進展だった。


嬉しさを抱いたまま、胸元で携帯をギュッと握り締めてみる。


まるで、自分の携帯に微かに残った彼の体温を確かめるかのように…。


< 100 / 461 >

この作品をシェア

pagetop