雨に恋した華
『無い物ねだりなんだよね』


いつだったか、千晶は自嘲気味に笑いながら、そんな事を言っていた。


『自分が持っていない物を持っている他人が、つい羨ましく見えるだけなんだ』って…。


『だから、紫はそのままでいいんだよ』って…。


童顔がコンプレックスだったあたしは、千晶の言葉がすごく嬉しかった。


外見も性格も、ほとんど共通点が無いあたし達だけど…


それでも親友でいられるのは、無条件に相手の事を好きでいられるからなのかもしれない。


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