雨に恋した華
自分の目の前に停まったのが虹希さんの車だと、すぐにわかった。


あたしがほんの一瞬戸惑っている間に、車から降りて来た彼が助手席のドアを開けてくれた。


「紫ちゃん、とりあえず乗って!」


「あっ、はい……」


傘も差さずに出て来た虹希さんに促され、急いで助手席に乗り込む。


彼は助手席のドアを閉めると、すぐに運転席に廻った。


「ごめん。結構待ったんじゃない?濡れなかった?」


申し訳なさそうな表情の虹希さんが、あたしを見ながらそう訊いた。


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