雨に恋した華
「……り!紫ってば!」


「えっ?あっ、何!?」


「もうっ!!何、ボーッとしてるの?」


何度もあたしを呼んでいたらしい千晶が、心配そうな表情をしていた。


「何でもないよ」


あたしが笑顔で答えると、彼女は少しだけ納得がいかないような表情をしていたけど…


「これ、ありがとう」


特に何も訊かずに、プリントを差し出しながら言った。


「どういたしまして」


あたしは小さく笑って言いながら、それを受け取った。


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