雨に恋した華
あたしが問題集を広げると、虹希さんは横から覗き込んで来た。


「どこがわからないの?」


彼の顔が、すごく近い。


耳元で聞こえた虹希さんの声のせいで、あたしの心臓は騒がしく動き出した。


「……紫ちゃん?」


「はいっ……!」


驚いたあたしは、裏返った声で返事をしてしまった。


「大丈夫?」


「あっ、はい……」


あたしが慌てて頷くと、虹希さんはクスッと笑った。


「とりあえず、順番に問題を解いてみようか」


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