雨に恋した華
「……何で避けないの?」


あたしの目の前で顔を止めた虹希さんは、不思議そうに訊いた。


その瞬間、我に返ったあたしは、慌てて彼から離れた。


「だ……だって……」


突然の事で、どうすればいいのかわからなかった。


「紫ちゃん、無防備過ぎるよ。こういう事されたら、相手の事を殴るくらいの気持ちでいないと……」


虹希さんはそう言った後、小さなため息を漏らしてから体勢を戻した。


そして、彼は戸惑っているあたしを見ながら口を開いた。


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