雨に恋した華
「おい、邪魔!」


不意に耳障りな声が聞こえて、あたしは顔を上げた。


「あっ、栗原健一(クリハラケンイチ)……」


「フルネームで呼ぶな。そこ、俺の席なんだけど」


あたしが呟くと、健一は眉をしかめながらため息をついた。


「何よ……。いつも遅刻するくせに」


あたしは言いながら、自分の席に戻った。


「は?いつもじゃねぇし」


「似たようなもんでしょ」


不機嫌な声で言った健一に、千晶が鋭い突っ込みを入れた。


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