雨に恋した華
「嫌いだからだよ」


虹希さんは冷たく言い放った後、嘲笑うようにあたしを見た。


「え?」


予想もしていなかった言葉に、思考回路が停止する。


嫌い……?


ほとんど停止した頭を必死に使って、心の中で彼の言葉をもう一度確認した。


その途端、頭の中が真っ白になった。


悲しい気持ちとか、涙が出そうとか、そんな感情は無い。


ただただ、頭の中が真っ白で…


何も考えられなくなったあたしは、そのまま俯いてしまった。


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