雨に恋した華
傘も差さずに走っていたあたしは、家に着く頃にはずぶ濡れになっていた。


「紫!?どうしたのっ!?」


いつものようにリビングから顔を覗かせたママは、驚きながらも慌ててバスタオルを持って来た。


「ほら、早く拭いて」


そう言われても動こうとしないあたしを見兼ねたのか、ママが困ったような表情であたしの髪を拭き始めた。


「このままじゃ風邪引くから、とりあえずシャワー浴びなさい」


ママは優しい声で言った後、あたしの体を支えながらバスルームに向かった。


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