雨に恋した華
シャワーを浴びた後、ママが用意してくれた服に着替えた。


柔軟剤の匂いが、あたしの全身を優しく包む。


それが、何だかすごく切なかった。


物音がするリビングに、両親がいる事はわかっていたけど…


泣き顔を見られたくなかったあたしは、そのまま自分の部屋に行った。


冷たい雫が首筋を伝うけど、濡れた髪を拭く気にもなれない。


力無くベッドに倒れ込んで、そっと目を閉じた。


その瞬間また溢れ出した涙が、ベッドに吸い込まれるように零れ落ちた。


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