雨に恋した華
どれくらいの間泣き続けていたのか、よくわからないけど…


「紫?」


あたしを呼びながら部屋のドアをノックしたママの声で、ハッと我に返った。


心配を掛けたくなくて、すぐに返事をしようと口を開いたのに…


泣き過ぎたせいか、渇き切った喉のせいか、声が出ない。


「紫……?入るよ?」


ドアの向こうから控えめに呼び掛けたママは、ゆっくりとドアを開けた。


「電気点けるね?」


ママの言葉と同時に、部屋の中がパッと明るくなった。


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