雨に恋した華
ママに中を見るように促されて、タバコの箱の中を覗いた。


「何……?」


箱の中には、何か小さな物が入っている。


「それね、パパから貰った物なの」


ママはそう言いながらタバコの箱を取り、あたしの手の上に中に入っていた物を出した。


「これって……ボタン……?」


呟くように訊くと、ママはどこか照れ臭そうに微笑みながらも、ゆっくりと大きく頷いた。


あたしは、自分の手の中にある少し色褪せたボタンが学ランの物だと、すぐにわかった。


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