雨に恋した華
「それね、パパの学ランの第二ボタンなんだよ」


「うん……」


ママの言葉に、掠れた声で返事をした。


「ねぇ、紫……。ちょっとだけ、ママの話を聞いてくれる?」


ママはあたしの瞳を真っ直ぐ見つめながら、優しく訊いた。


その意図はよくわからないまま小さく頷くと、ママが優しい笑みを浮かべて口を開いた。


「パパとママはね、高校の時に出会ったの……」


ママは愛おしそうにボタンを見つめながらそう前置きした後、パパとの事を少しずつ話し始めた――。


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