雨に恋した華
「パパの卒業式の日、屋上にこのボタンが置いてあったの……。パパがいつも吸ってた、このタバコの箱と一緒にね」


ママは、そこまで話してからあたしの手に乗っているボタンにそっと触れ、すごく愛おしげにそれを見つめた。


「その時にね、今パパに自分の気持ちを伝えなきゃ一生後悔する、って思った……」


そう言ったママの瞳は、すごく力強くて真っ直ぐだった。


「だから……ママは、パパに自分の想いを伝えたの」


ママはあたしを真っ直ぐ見つめながら、優しく微笑んだ。


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