雨に恋した華
「なぁ」


不意に健一に声を掛けられて、隣の席に座っている彼を見た。


「……何?」


「俺にも、英語のプリント見せて」


「何で?」


あたしが訊くと、健一は欠伸をした後で口を開いた。


「やるの忘れた」


「そうじゃなくて、何であたしがアンタに見せなきゃいけないの?」


あたしが眉を寄せながら訊くと、健一が眉をしかめた。


「別にイイだろ」


「全然良くないよ」


あたしは、キッパリと言った。


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