雨に恋した華
千晶いわく、健一は嘘をつく時に眉が小さく動く。


だから、馬鹿正直な彼が、鋭い彼女の前で嘘をつけるハズが無い。


「もうすぐ授業始まるんだし、どうせ間に合わないよ。もう諦めれば?」


ため息混じりに言った千晶を、健一が軽く睨んだ。


「千晶は黙ってろよ」


またそう言った彼は、あたしを見ながら口を開いた。


「ジュース奢ってやるから、プリント貸して」


あたしは微妙に上から目線のままの健一を見ながら、あからさまに大きなため息を漏らした。


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