雨に恋した華
虹ちゃんと付き合ってすぐに、彼はさりげなくあたしの事を呼び捨てするようになった。


虹ちゃんは、付き合ってからも彼の事を『虹希さん』って呼んでいたあたしに、呼び捨てでいいと言ってくれたけど…


何度練習してみても恥ずかしさが先立って、虹ちゃんの名前を上手く呼ぶ事が出来なかった。


結局、『虹ちゃん』って呼ぶ事にしたけど…


たったこれだけの事でも、虹ちゃんとの年の差をすごく感じてしまう。


それが、幸せな今のあたしが抱えている唯一の小さな憂鬱だった。


< 274 / 461 >

この作品をシェア

pagetop