雨に恋した華
料理が運ばれて来ると、虹ちゃんは自分が注文したステーキを小さく切り分けてフォークに刺し、あたしの口元に差し出した。


「紫、ほら」


「え……?」


キョトンとして戸惑っていると、虹ちゃんがニコッと笑った。


「ステーキも食べたかったんだろ?ほら、あーんしな♪」


恥ずかしい気持ちもあったけど…


「じゃあ……」


怖ず怖ずと口を開けると、虹ちゃんはあたしの口の中にステーキを入れた。


あたしは、それを一生懸命噛んでから飲み込んだ。


< 277 / 461 >

この作品をシェア

pagetop