雨に恋した華
虹ちゃんの口元にフォークを差し出すと、彼は悪戯な笑みを浮かべた。


「せっかくだから、ちゃんと『あーん』って言ってよ」


「へっ!?無理だよ!」


顔が真っ赤になったあたしは、首を力いっぱい横に振った。


「俺も言っただろ?早くしないと、本当に冷めるぞ」


虹ちゃんに促されて、仕方なく恥ずかしさに耐えながら口を開いた。


「あ、あーん……」


「ん、美味(ウマ)い♪」


グラタンを頬張った虹ちゃんは、満面の笑みを見せた。


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